診療科・部門のご案内

泌尿器科

初診 2診 午前 伊 藤 柚 原 河 田 休 診
(手術)
伊 藤
(1・3・5)
河 田
(2・4)
再診 1診 柚 原 河 田 柚 原 河 田
(1・3・5)
伊 藤
(2・4)
1診 午後 手 術
2診 柚 原 伊 藤 伊 藤
(1・3・5)
河 田
(2・4)

ごあんない

泌尿器科は尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)および男性生殖器(前立腺、精巣、陰茎)の病気について診療を行います。 当院では泌尿器癌、排尿困難・頻尿・尿失禁などの排尿障害、尿路結石、膀胱炎・腎盂腎炎などの尿路感染症の治療を中心に3人の泌尿器科専門医が診療を行っています。
泌尿器科で扱う悪性腫瘍には主に腎癌、膀胱癌、前立腺癌があります。当科ではそれらの検査・診断、手術を含めた治療まで広く行っています。特に腎癌に対する手術療法としては、体の負担が少なくなるような腹腔鏡手術を導入しており適応のある患者様には積極的に行っています。
排尿障害に関しては前立腺肥大症や過活動膀胱などの疾患があります。治療は薬物療法が主体となり以前のような前立腺肥大症に対する手術は減少傾向にあります。夜間頻尿で困るとか、トイレのことが心配でバス旅行にも行けないなどお悩みの方は薬物療法で軽快することもあります。ぜひ一度ご相談下さい。
尿管結石などの尿路結石に対しては、体外衝撃波結石破砕術を行っており、麻酔・メスを使わない治療が可能です。当科では原則的に1泊2日入院で治療を行っております。また、ホルミウムレーザーを用いた経尿道的レーザー結石破砕術も積極的に行っており良好な成績を上げています。
初めて当科を受診される際には、医療情報把握のためかかりつけ医の紹介状を持参して頂けると幸いです。
治療法の選択には、納得して頂けるよう丁寧な説明を心掛けています。より正確な情報をお伝えするために癌を含め、原則として患者さんご本人に病名を告知いたしますのでご了承ください。またセカンドオピニオンも大切にしていますので、治療法の決定の際に少しでも不安や疑問があり、他病院の医師への受診希望がありましたら遠慮なくお申し出ください。

前立腺癌

日本における前立腺癌の罹患数はここ最近急増しています。前立腺癌の死亡数も今後増加することが予測され、50歳以上の男性には前立腺がん検診がすすめられます。血液検査にてPSA値を測定します。PSA値が上昇するほど前立腺癌の可能性が高くなります。住民検診などでPSA値に異常を指摘されましたら泌尿器科を受診して下さい。直腸診、超音波、MRIなどの検査を行い、最終的には前立腺生検にて診断します。

前立腺癌と診断されたら

まずは前立腺癌の進行度(病期)を調べます。前立腺癌の内部にとどまっている段階なのか、もしくは周囲への浸潤、多臓器への転移を来していないかを調べます。病期や年齢、患者様の全身状態を考慮して治療法を選択していきます。代表的な治療法について以下に示します。

● 手術療法

限局癌に対して根治目的に行います。術後に尿失禁や性機能障害などの合併症の可能性がありますが、癌が前立腺内にとどまっている場合は根治率の高い方法の一つです。腹腔鏡手術やロボット支援手術を行っている施設もありますが当科では開腹手術を行っています。

● 放射線療法

高エネルギーの放射線を用いる治療法です。限局癌に対しては根治目的に行います。癌の性状によっては内分泌療法を併用することもあります。合併症として排尿時痛、血尿、皮膚炎、直腸出血などが挙げられます。原体照射、強度変調放射線治療(IMRT)、放射線内照射(ブラキセラピー)などの方法がありますが、IMRTとブラキセラピーは当院には設備がなく施行しておりません。ご希望の場合は適切な施設へ紹介させていただきます。

● 内分泌療法

男性ホルモンの働きを抑える治療法です。根治療法ではありませんが多くの人によく効く治療法です。去勢術やLH-RHアゴニスト剤、抗男性ホルモン剤などを用います。副作用にほてりや発汗、女性化乳房や肝機能障害などがあります。

● 化学療法

いわゆる抗がん剤治療です。主に内分泌療法が有効ではなかったり、効かなくなってきた症例に対する治療法です。当科でも施行しております。治療開始初期には入院にて副作用などの確認をしますが、経過がよければ通院治療も対応しています。

● PSA監視療法

前立腺生検により証明された悪性度の低い一部の前立腺癌に対して、治療が必要になるまで治療を延期するというものです。PSA値の推移や再生検などから治療の必要性を見極めます。治療に伴う副作用のリスクを避けられる反面、癌が進行するリスクもありその適応については慎重に判断します。

以上が前立腺癌の代表的な治療法です。それぞれの患者様に合った治療法を納得した形で選択できるように医師と相談して下さい。

膀胱癌

膀胱癌は膀胱の尿路上皮粘膜より発生する悪性腫瘍です。膀胱癌が発見される契機となる主な臨床症状は、血尿、膀胱刺激症状(頻尿、排尿時痛、残尿感等)です。診断には膀胱鏡検査や超音波検査にて腫瘍を確認します。膀胱癌の存在が確認された場合は、病期診断を行います。上部尿路(腎盂・尿管)腫瘍の有無、遠隔転移、腫瘍の深達度の評価のためにCT、MRIなどの画像検査が有用です。
しかし、最終的な壁内進展の評価には病理検査が必須であり、膀胱腫瘍のほぼ全例に、診断と治療をかねて経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を施行します。

経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)

内視鏡による手術方法です。尿道から手術用の膀胱鏡を挿入し、膀胱内部を観察しながら電気メスで腫瘍を切除します。多くの症例では下半身麻酔下で手術が可能ですが、合併症や腫瘍のサイズ、数によっては全身麻酔下に施行することもあります。術後に尿道カテーテルを留置しますが、多くの症例で翌日には抜去します。その後経過をみて退院となります。経過が良ければ計4-5日間程度の入院期間です。TUR-BTにより腫瘍の深達度、悪性度が評価されますが、この結果によっては初回TUR-BT後1カ月程度で、残存腫瘍の有無や深達度の再確認のために再度TUR-BTを行う場合もあります。

筋層非浸潤性膀胱癌について

TUR-BTにて可視病変をすべて切除します。病理診断にて筋層浸潤がないことを確認します。腫瘍のサイズ、数、悪性度などによっては術後の再発予防として膀胱内薬物注入療法を行うこともあります。

筋層浸潤性膀胱癌について

筋層浸潤性膀胱癌はTUR-BTのみでの治療は困難です。全身検索にて遠隔転移の有無を調べます。遠隔転移を認めない場合は膀胱全摘出術の適応となります。最近では術前化学療法の有効性が指摘されており、当科でも症例によって施行する場合があります。膀胱全摘出時には同時に尿路変向術も必要であり、回腸導管・尿管皮膚瘻・代用膀胱など患者様に適した方法を選択します。筋層浸潤性膀胱癌に対して放射線治療・化学療法・TUR-BTを併用して膀胱温存を図る治療法もありますが適応は確立されておらず、標準的な治療ではありません。
周辺臓器への浸潤や、遠隔転移が存在する症例では、化学療法や放射線治療などの集学的治療を行います。

腎癌

近年、腹部超音波検査やCTの普及により偶然に発見される腎癌の頻度が上昇してきています。また、健診における腎癌の発見率は他の悪性腫瘍と比較して頻度が高いです。偶発腎癌は一般的に早期癌であることが多く、根治療法を施行することで大きな治療効果が期待できます。

腎癌の検査について

検診や人間ドックで腎腫瘤が指摘された場合、造影CT検査を行います。腎腫瘤の大きさ、造影剤での濃染の有無、多臓器との関係や転移の有無などを調べます。直径が4cm以下の小径腎腫瘤では腎血管筋脂肪腫などの良性腫瘍との鑑別が時に困難なこともあり慎重な判断が必要です。

手術療法について

腎癌に対する治療の基本は手術療法です。患側腎摘除術を施行します。当科では主に腹腔鏡下腎摘除術を施行しています。開腹手術と比較して腹腔鏡下手術の長所としては低侵襲性が挙げられます。手術に伴う出血量や術後の創部痛が少なく、入院期間も短く済みます。腹腔鏡下手術後は多くの場合翌日には離床を進めて、同日、もしくは術後2日目には食事が開始されます。制癌効果も開腹手術と比較して差異がないものとされています。
また、近年小径腎腫瘍に対する腎機能保持を目的とした腎部分切除術が注目されています。当科でも適応症例に対して開腹手術にて、腎血流を遮断して腫瘤を切除する方法やマイクロ波組織凝固装置を用いた無阻血腎部分切除術を施行していく方針です。

免疫療法・分子標的薬について

主に進行腎癌、切除不能腎癌に対しての治療方法です。インターフェロンαなどの免疫療法が有効な例として、腎摘除後であること、 転移出現までの期間が長いこと、転移巣が少ないこと、転移部位が肺であることなどが挙げられますが、分子標的薬治療が広がりつつ ある現在、その適応が再検討されています。
近年、分子標的薬の開発が進み、現在日本においてはソラフェニブ、スニチニブ、エベロリムス、テムシロリムスの4剤が承認されています。主に進行腎癌に対して用いられます。特有の有害事象(手足症候群、血小板減少、間質性肺炎など)があり、それらをコントロールしながら治療を継続することになります。分子標的薬治療を開始するに当たり、導入時期には入院加療で行っております。有害事象がうまくコントロールされ経過が落ち着いたところで外来通院治療となります。まだ症例数は多くはありませんが今後増加していくであろう治療といえます。

その他泌尿器癌

腎盂尿管癌、精巣癌、陰茎癌などの泌尿器悪性腫瘍に対して手術療法、化学療法、放射線療法などの標準的治療を行っております。

尿路結石

尿路結石はその部位によって腎結石、尿管結石、膀胱結石に分類されます。肉眼的血尿や、腰背部痛などの症状で発症することが多いです。サイズの小さな結石は自然排石することが期待できますが、サイズが大きいものや尿管に嵌頓しているような結石は砕石処置が必要になります。

体外衝撃波結石破砕術

主に腎結石や上部尿管結石に対して施行します。レントゲンで結石へ焦点を合わせて衝撃波で結石を破砕します。そのため体にメスを入れることなく治療が可能です。当科では1泊2日入院で治療を行っています。合併症としては血尿や疼痛、腎被膜下血腫などが 挙げられますが重篤な症状を来たすものの頻度は極稀です。硬い結石やサイズの大きなものでは1回の施術で破砕効果が不十分な場合もあり、数回繰り返すこともあります。

経尿道的尿管結石摘出術

尿管鏡を挿入し直視下に結石を破砕する手術です。内視鏡手術ですのでこちらも体にメスを入れることはありませんが麻酔下での手術となります。多くの症例を下半身麻酔で施行しており3泊~4泊程度の入院期間を要します。当科ではホルミウムレーザーを砕石に使用しております。近年軟性尿管鏡を用いた経尿道的尿管結石摘出術にも取り組んでおり、従来の硬性尿管鏡では届かなかった腎結石に対する内視鏡的手術も可能となりました。

経尿道的膀胱結石摘出術

自然排石の期待できない膀胱結石に対して施行します。膀胱結石に対する体外衝撃波結石破砕術は困難であり、内視鏡手術が標準的です。下半身麻酔で膀胱鏡を挿入して砕石します。膀胱結石の成因として前立腺肥大症や神経因性膀胱などの排尿障害を認めることが多く、再発予防に基礎疾患の治療も必要となります。排尿状態の評価も併せて行っていきます。

医師の紹介

泌尿器科部長
柚原 一哉 ゆはら かずや 【S62年卒】
専門分野 前立腺がん
所属学会 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 腹腔鏡技術認定医
医師
河田 啓 かわた けい【H22年卒】
所属学会 日本泌尿器科学会 専門医・指導医
医師
伊藤 寛之 いとう ひろゆき【R02年卒】
所属学会  
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