コロラド大学病院研修
コロラド研修
初めまして。高山赤十字病院初期研修医の百瀬崇と申します。
今回、高山市、高山デンバー友好協会、高山赤十字病院の協力のもと、高山市と姉妹都市であるデンバーのコロラド大学病院にて研修する機会を得ました。
コロラド研修は研修医2年目に選択することができます。期間は2週間です。TOEIC600点もしくはTOEFL500点以上の英語力があれば応募できます。プログラムに関しては高山市、事務の方々が準備して下さるので、他の研修で忙しくても準備に膨大な時間をとられることはありません。また、高山市と当院から補助金を頂けます。とても魅力的なプログラムであると思います。
研修やアメリカで生活して気がついたことなど、少しだけですが皆さんに紹介させて頂きたいと思います。
デンバーはアメリカ中西部に位置するコロラド州の州都であり、街全体の標高が約1マイル(約1,600m)にあることからマイルハイシティーと呼ばれています。全米における暮らしたい街のランキングでも常に上位にランクインする街で、非常に暮らしやすかったです。また街で会う人々、バスの運転手さん、患者さん、病院のスタッフとすべての人々が優しくして下さったのが印象的でした。日本からは直行便も就航しておりアクセスも良く空港では日本語の案内もありました。標高はかなり高いですが周りの景色を見るだけでは標高1,000m以上の場所とは気が付くことはないと思います。
今回研修させていただいたのはデンバー市の東側に位置するコロラド大学病院です。近年、街の中心からキャンパスを移動してきたので、すべての建物が新しく綺麗でした。2週間の研修期間では内分泌・糖尿病科、治療内視鏡科、行動医学・メンタルヘルス科で学びました。
大学病院ということもあり、どの科においても教育に力を入れていました。数多くのカンファレンスをしていたり、研修医の教育目的の回診に時間をかけたり、研修医の診察の様子をビデオに撮って上級医と反省会をしたり、と教える側のみならず、学ぶ側の貪欲さを感じました。またそのような熱意に満ち溢れた空間に、短い期間ではありますが身を置けたことは本当によい経験であったと思います。
今回のコロラド研修ではホストファミリー宅に滞在しました。独立記念日のお休みには、みんなで地元大リーグチームであるコロラドロッキーズの試合を見に行ったり、ロッキー山脈にある別荘まで一緒に行きデンバーの自然を楽しんだりと楽しい時間を過ごすことができました。コロラドの山々を通る高速道路からみえる景色は、高山の高速道路から見える景色に非常に似ていました。
コロラド大学病院ではいくつかの科を回りましたが、内分泌・糖尿病科では外来を見学したり病棟の回診についてまわったりとアメリカの研修医と同じようなスケジュールで研修させて頂きました。外来を見ていると基本的な治療に使う薬は日本とアメリカではほとんど変わりませんが、糖尿病教育に関しては日米での違いを感じました。例えば、糖尿病患者に対する指導では、日本では食事療法、運動療法などを医療者サイドから積極的にすすめますが、アメリカでは日本と同様の選択肢はありますが患者が希望しなければ強くは勧めず、やるかやらないかは患者の責任に任せているようでした。また治療を選択するにあたって皆保険制度である日本と違って入っている保険によって選べる治療は変わってくるようで、日本の様に患者さん一人一人に合った治療を比較的自由に選べることの素晴らしさを感じました。外来では医師のみならず看護師、薬剤師と様々な職種の人々が患者さんをサポートするようになっており、医師はスタッフを統括する役割であるようでした。システム的な面では、全ての患者さんは院外からも自分のカルテが閲覧できるようになっており、何か質問があれば医師宛にメールで問い合わせるシステムが確立していました。これはアメリカにおいては日本ほど頻回に、そして自由に外来通院をしないために発達してきたシステムであるように感じました。どちらの医療がいいかは一概に言うことはできませんが、日本以外の医療システムを知ることは今後医療を行っていくにあたって有益であると感じました。
日本の医療の良さに気がつくことができたことが今回の研修で得た一番大事なことです。今後も研修中に知り合うことができた多くの人々と今後も交流していきたいです。いつか機会があれば再度コロラドを訪れたいと考えています。