バングラデシュ南部避難民救援事業 看護師活動報告
2018年07月04日
ミャンマー連邦共和国ラカイン州で発生している騒擾に伴い、隣国バングラデシュ人民共和国へ難民が流出しており、避難民の数は70万人以上に達しています。
日本赤十字社は平成29年9月16日に先遣隊を派遣以降、避難民の支援を継続しています。日赤の医療チームは今までに2万5000人を診察し、4万人にこころのケアを実施しました。また、地元の赤十字社と協働で避難者キャンプの巡回診療活動を行なっています。
約2ヶ月の活動を終え、5月に帰国した馬場看護師の活動をご紹介します。
馬場看護師の報告
活動場所:コックスバザール郊外避難民のキャンプ地
衛生面の悪化が懸念される環境下での医療支援活動を行いました。避難されている方の住まいは、テントを手作りした簡易的なもので、雨が降ると簡単に浸水してしまうような環境です。雨の影響はとても大きく、用水路にはゴミが溜まっている状況のため、それが溢れ出てしまうこともありました。その中で子どもたちが裸で遊び回っているため、感染症が容易に拡大してしまう恐れがある環境を目の当たりにしました。
日本赤十字社は昨年9月から活動しており、派遣時は仮設診療所と巡回診療という2本の柱を中心に感染症追跡調査、母子健康活動が行われていました。
派遣された時期は急性期を過ぎた頃だったため、バングラデシュ赤十字への指導やバックアップ等の取り組みを行いました。具体的には、現地医療スタッフが自分たちで医療的ケアが出来ることを目的に指導を行うこと、昨年12月から流行したジフテリアの予防薬投与のため、巡回訪問に出向く活動を行いました。
当初の予定は1ヶ月程度の活動でしたが、任期延長の依頼を受け、約2ヶ月間支援活動に従事した後、帰国となりました。
活動を終えて…
馬場看護師「避難民の方々も一緒に活動し、自分たちの問題を懸命に取り組んでいた事が印象的でした。今後もそういった人たちへの支援ができればと思います。」「これから雨季に入るためさらなる環境の悪化、依然として避難民が帰国できない現状のため、継続した支援が必要と感じます。報告会などを通じて皆にその現状を知ってもらいたい。」と語りました。
十分な生活が送れない、働けない、医療が受けられない環境にいる、食事や住居も明日にはどうなるかわからない環境の中、懸命に生活を送っている避難民の現状が馬場看護師の体験より聞くことができました。現在は雨季に入っているため、自然災害による被害も懸念されます。避難民の方々は先の見えない不安に常に直面しています。赤十字社は今後も支援を続けていきます。
ぜひ皆様の温かいご支援をお願いします。